初日記です｡

私の恥ずべき体験の顛末を､お聴き下さい｡

この日記のﾀｲﾄﾙですが､往年の人気ｺﾒﾃﾞｨﾁｰﾑ､ﾏﾙｸｽﾌﾞﾗｻﾞｰｽﾞの傑作喜劇映画の題名を､拝借いたしました｡

では､始まり､始まり！

これは､そう､昨日の話しです｡

彼女と別れて､はや一年｡新しい出会いを求めて､とある出会い系ｻｲﾄに登録しました｡遊びではなく､真剣な恋を求めて｡

当該ｻｲﾄは､｢足あと｣や｢いいねﾎﾞﾀﾝ｣など､こちらのｻｲﾄと､よく似た機能が備わっています｡

ﾏｲﾍﾟｰｼﾞを見ると､数日にわたって､同一女性の足あとが､ぺたぺたと｡早速､お相手のﾌﾟﾛﾌを見ると､２０代後半のｽﾚﾝﾀﾞｰ美女とある｡
年齢･容姿共に､私好みで､申し分なし｡この機を逸してなるものかと､｢いいねﾎﾞﾀﾝ｣を､力強く押す！
あろうことか､ものの数十秒で､そのｽﾚﾝﾀﾞｰ美女から､お誘いのﾒｰﾙが届く｡
このﾒｰﾙ送信の速さに､眉へ唾するべきであったが､意中の相手よりのﾒｰﾙである｡舞い上がった私に､冷静沈着な判断など出来るはずもない｡
ﾒｰﾙの内容は､こうあった｡｢割り切りの関係を望む｣と……｡
私は､しばし迷った｡私は､真剣な恋がしたくて､そのｻｲﾄに登録したのだ｡割り切りだなんて､そんな浮ついた関係を結べるもんか！
しかしながら､時が経つにつれ､相手の身勝手な言い分に対する腹立たしさよりも､一時の快楽を得たいと願う､さもしい欲求が鎌首をもたげる｡
｢脆き者よ､汝の名は女なり！｣とは､ﾊﾑﾚｯﾄのｾﾘﾌであるが､中々どうして､男も誘惑には､滅法脆いのだ｡
もう､迷うことはない！割り切りでも構わない､彼女にﾒｰﾙを送ろう！
文面は､こうだ｡｢割り切りで結構です｡ｱﾅﾀのお気持ちを最優先します｡写ﾒを添付しますので､ご覧下さい｡もし､ｱﾅﾀのﾀｲﾌﾟでなかったら､このﾒｰﾙを削除してください｡それでは､ｱﾅﾀからの色よいお返事を､心よりお待ち申し上げております｣｡
文章を入力し終えると､高揚感によって僅かに震える指先で､送信ﾎﾞﾀﾝを押した｡
安堵の溜め息を漏らしたのも束の間､私は重大なﾐｽを犯したことに気づき､顔から血の気が引いた｡しまった！