茶花を求めて(1)
40代後半  愛知県
2013/05/02 19:08
茶花を求めて(1)
お茶席で目にする花には、一般的に馴染みの薄いモノが多い。


床の間や床柱に生けられた花が、いったい何という花であるのか、いつも気になる。


ちなみに、茶室に生けられる花を、茶花(ちゃばな)と言う。


ふつう茶花は、その茶事のある季節に咲く花を使う。


してみると、茶花は、その茶室に季節感を醸し出す、大切な役割を担っていることになる。


お茶の世界では、昔より、「花は足で生けよ」という言葉があるそうだ。


これは、「野山のあちらこちらを歩いて、茶室に相応しき花を、手折ってこい」、との意味であろう。


この茶花には、色々な決まり事があり、お茶席には、そぐわない「禁花」と言うモノがあるそうだ。


香りの強い花。

派手な色彩の花。

トゲのある花。

季節なしの花。

名前の悪い花。

実のなる花。


他にもまだあるが、以上のような花は、茶花としては適さない。


さて、本日は、豊橋公園にある、三の丸会館の立礼席で、お薄を頂戴した。


まず、一つ目の画像にあるような、練りき切りの主菓子が、私の元へと運ばれきた。


流れる清き川に、もみじの青葉が一つ落ちた様を、象っているのであろうか、新緑のこの季節に、似つかわしきお菓子である。


お菓子を食べ終えて、しばらく経つと、お薄がやってきた。


茶碗から立ちのぼる抹茶の香りに、しばし陶然となる。


灰青色の茶碗を、手のひらにおさめると、ほど良い湯加減が、両の手に伝わる。


三口で、飲み終えたお薄は、まことに結構なお点前であった。


静寂に包まれた、お茶席では、強く吹く外の風が、微かに耳朶を震わせる。


まさにお茶には、五感に訴える力があるのだ。


それでは最後に、この立礼席の茶花について、簡単に触れておきたい。


「一期一会」と墨で書かれた、短冊の掛け物の下には、二種類の花が生けられていた。


三つ目の画像にある、白い花が山法師(やまぼうし)、オレンジ色の花が、日光黄菅(にっこうきすげ)である。


どちらも、閑散としたお茶席において、自己主張することもなく、ただただ気品を漂わせながら、備前焼の花入れに、行儀良くおさまっていた。
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