茶花を求めて(5)
この茶会のご亭主にお伺いしたところ、野点の席では、このように、野点傘の中棒に、掛け物と花入れを吊す事が多々あるそうだ。
掛け物の短冊には、「白雲自去来」と墨書されていた。
白雲(はくうん)自(おの)ずから去来(きょらい)す、と読む。
本来は、「青山元不動」、と言う五言と共に、対句となる禅語である。
青山元不動
白雲自去来
青山(せいざん)元不動(もとふどう)
白雲(はくうん)自(おの)ずから去来(きょらい)す
この禅語の意味について、少し解説をしたい。
この五言句にある白雲は、次々と湧き起こる煩悩を表している。
数々の煩悩に惑わされることなく、動かざる山のように、泰然として、己を貫き通せ、コレが五言対句の大まかな意味である。
ただし、「白雲自ずから去来す」のみでも、ちゃんとした意味があるそうだ。
この場合、雲は、煩悩の象徴ではない!
雲というモノは、形を様々に変えながら、大空を思うがまま、あなたこなたへ移動する。
かような雲の性質から、この五言句には、「物事に執着せず、雲のように自由であれ!」、との意味があるようだ。
では、最後に、茶花について触れておきたい。
小壷の花入れに生けられた茶花は、以下の五種類。
①利休草(リキュウソウ)
②立浪草(タツナミソウ)
③猿候草(エンコウソウ)
④丁字草(チョウジソウ)
⑤曙風露(アケボノフウロ)
浅学の私には、いずれも初めて耳目にする山野草であった……。
おわり