乃木坂顛末記(後編)
40代後半  愛知県
2015/07/13 19:09
乃木坂顛末記(後編)
だがしかし、次に予期せぬ事態が起こるのだ!


レジでの精算が済み、釣り銭を私に手渡した店員は、「ありがとうございました!」と深く頭を下げ、その顔に営業スマイルを維持したまま、この私を、店から追い出そうとするではないか!


私は、心の中でこう叫ぶ!


【おいおい、お姉ちゃん!何か忘れてないか?俺、対象商品のパンを二つ買ったよなあ!だったら、乃木坂っぱえびせんくれよっ!!】


でも、気の弱い私は、「乃木坂っぱえびせんをください!」とは、ついに言い出せず、店をあとにしたのだ。


四十を越えたオッサンが、アイドルの限定グッズに固執するなど、まったくもって、薄みっともない。


たかだかこれしきの事で、ムキになろうものなら、あのうら若き女店員に、どのように思われるであろう。


「あのオヤジ、乃木坂46のファンだよ!ヒヒヒヒッ!ああ~キモッ!!!」って思われるに違いないのだ!


もし誤って、「乃木坂ファンのキモオタ」と認定されれば、もはやあの店の敷居は、二度とまたげまい!


件のうら若き女店員の蔑んだ眼差しに耐えられるほど、私のハートはタフではないのだ。


車へ戻った私は、パンを取り出そうと、コンビニの袋の中へ手を差し入れる。


すると、小冊子のようなモノが、手に触れた。


見ると、それは、今回のキャンペーンの詳細が書かれた小冊子であった。


例のパンの項目を見ると、次のように書かれてある。

=========

【引換方法】

対象のパン2個と、引換券1枚をレジに持って行く!


各店先着115名様

※無くなり次第終了

=========

そうかっ!パンと一緒に、引換券をレジへ持って行かないと、「乃木坂っぱえびせん」は貰えないんだ!


無知ほど恐ろしいモノはない。


俺の単純なミスである。


そのカラクリさえ分かれば、簡単なことだ。


早速明日、リベンジを果たそう!


翌日の仕事帰り、セブンイレブンへ立ち寄った私は、先着116人目とならぬよう、慌てて、パンの陳列棚へと急いだ。


「あれっ!無いっ!!引換券も、キャンペーンの告知文も!!」


そう、結局私は、先着115名様のうちに入れず、「乃木坂っぱえびせん」を食べ損ねたのであった……。


おわり
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