鉄板みそカツ定食
味噌カツと言えば今でこそ、「名古屋めし」の代表格として、全国の人たちに知られるようになったが、私が大学生だった頃、【味噌カツ】などは、愛知県やその周辺県以外の人々にとっては、未知の食べ物であった。
「私が大学生だった頃」と書いたが、それはざっと20年以上前のことである。
東京にある私の大学には、己のような田舎者がわんさといた。
これら地方出身者が寄り集まれば「おらが国さで見せたいものは」と、お国自慢の始まるのが常である。
そこで私が、味噌カツの話をし出すと皆一様に眉をしかめて、こんな事を言う。
「えー!そりゃ、あり得んわ!トンカツには、ソースだろ!」
「トンカツに味噌掛けて食うの!?気持ち悪い!」
「愛知県の人って、味覚がオカシイでしょ!」
当時は、たかが味噌カツごときで、かような総攻撃を受けたものである。
さて、その味噌カツの起源に関して、こんな逸話があるのを、ご存知だろうか?
お客さんの注文したトンカツか串カツか
を誤って、どて煮の鍋の中へ落としてしまった。
味噌まみれになった、そのカツを食べてみると、これがまた美味である。
こうして、誕生したのが【味噌カツ】であった……なんと言う俗説があるのだが、真偽のほどは定かではない。
まあ、そうしてみると、「失敗は成功の母」と言うことになるので、色んなものにトンカツを落としてみれば、また新たな料理が生まれる可能性があろう。
例えば、シチューの中へトンカツを落として「シチューかつ」とか、トムヤムクンの中へトンカツを落として「トムヤムクンかつ」とか……ちょっと冒険をしてみると、薔薇色の未来がそこに待ち受けているかもしれない!
余談は、これぐらいにして、本題に移りたいと思う。
添付した画像は豊橋にある、【げんこつとんとん】と言うお店の「鉄板みそかつ定食」である。
熱々の鉄板に敷かれた千切りのキャベツの上に、たっぷりと味噌だれの掛かったトンカツ。
ポテトサラダ、香の物のつぼ漬け、赤だし、そしてご飯が付いて880円也。
ここの味噌だれには、すりおろしたニンニクが入っているようだ。
ニンニクは、料理の味を大きく左右する、極めて厄介な食材である。
個人的には、味噌だれへは、ニンニクを入れて欲しくはないのだが……まあその部分に目をつむれば、味・コスパとも及第点としたい!