仁義なき戦いスパ
以前、サイトで知り合った大阪出身の女の子とお酒を飲んだ時、【あんかけスパゲティ】の話をしたことがある。
「あんかけスパゲティって、ミートソースを名古屋人の好みに合うようにと、創意工夫して生まれた食べ物なんだよ」
私がこう話すと、いきなり彼女は大笑いし出した。
「なんで、そんな事すんの?ミートソースはミートソースでええやん!名古屋の人って、よう味噌使うし、トーストにあんこ乗せはるし、ほんま、愛知の人って頭オカシイやろ!」
わざわざミートソースの亜流を作り出すために心血を注いだ愛知県人は、浪花っ子の彼女からすると、笑いが止まらなくなるほどおかしな生き物らしい。
ちなみに、彼女の口に、あんかけスパゲティは合わなかったそうだ。
私も、初めて食べた時は、うまいのかまずいのか判然としなかったが、2度3度と食べてゆくうちに、この独特な味わいの虜となってしまった。
先ほど、あんかけスパゲティを「ミートソースの亜流」と書いたが、見た目はともかくとして、その風味は、ミートソースとは全くの別物である。
コクがあってとろみのあるソースは、トマト味がベースとなっており、たっぷりの胡椒がきいて、とてもスパイシーだ。
このソースを、油で炒めた太麺にかけて食べる。
こんな独創性のある食べ物こそ、名古屋めしの中の名古屋めしである、と私は思う。
さて、今回ご紹介するのは、豊橋駅からほど近い場所にある、あんかけスパ専門店「スパゲッ亭チャオ本店」のあんかけスパゲティだ。
毎年、10月下旬から11月中旬まで、豊橋では、「スロータウン映画祭」が開催される。
この期間中チャオでは、上映される映画にちなんだ創作スパゲティを提供してくれるのだ。
今年は、上映作品16本の他に高倉健・菅原文太・松田優作、この三名が主演した映画も特別上映された。
添付した画像は、菅原文太主演の『仁義なき戦い 頂上作戦』をイメージして考案された創作スパゲティである。
その名も「仁義なき戦いスパ」だ!
熱い鉄板の上には、バーサスの旗を境として、【あんかけスパゲティ】と【イカすみスパゲティ】が対峙する。
トッピングの顔ぶれは、以下の通り。
トマト、赤と黄色のパプリカ、厚切りのかりかりベーコンが二切れ。
しかし、何故このようなトッピングになったのであろうか?
「さて、その心は?」と、店員さんにお聴きしたわけではないので、自分で勝手に推測することにした。
まず赤いパプリカとトマト、これはヤクザ同士の血で血を洗う凄惨な抗争をイメージしたものではなかろうか?
黄色のパプリカは、「ヤクザには注意せよ!」との意味が込められているかもしれない!
かりかりの厚切りベーコンは、主演が菅原文太なので、「ぶんた…ぶんた…ブタ…豚…ベーコン……万歳!万歳!万歳!」ってことかな……?
この創作スパ、名前がねえ……注文する時、恥ずかしかったわ!
「お待たせ致しました、仁義なき戦いスパです!」って、大きな声でテーブルに持って来られた時は、周りに居た客が一斉にこっちを見たわ!
それに、このお子様ランチのようなVSの小旗も、こっぱずかしいし……スマホで写真撮ったら、急いでこの旗を引き抜いてやったわ!
味はどうかって?そりゃ、デラうまいがね!