このステーキ丼は、あんかけスパゲティの元祖を標榜する、『スパゲティハウス・ヨコイ』で食べたものだ。


名古屋で「ヨコイ」と言えば、あんかけスパの老舗として、つとに名高い。


【名古屋めし】の一つである「あんかけスパゲティ」の歴史は、【発祥】・【元祖】・【命名者】、この三つのキーワードで説明出来る。


そもそも、【あんかけスパゲティ】なる食べ物を考案したのは、『スパゲティーハウス そ～れ』というお店で、共同経営者兼料理人として働いていた、山岡 博さん。


この山岡 博さんは、後に独立して、 『スパゲティハウス・ヨコイ』のオーナーとなる。


では、ココまでのおさらいをしたい。


名古屋で初めて、あんかけスパゲティを提供したのが、『スパゲティーハウス・そ～れ』で、ここがあんスパ発祥の店となる。


『スパゲティハウス・ヨコイ』は、あんかけスパゲティの産みの親である山岡さんがオーナーなので、あんスパの元祖と名乗っているのだ。


これで、【発祥】と【元祖】の経緯はご理解頂けたと思うが、「三つ目の命名者ってナニ？それって美味しいの？」と頭を抱えておられる方も多いはず。


通常であれば、とある食べ物の考案者イコール名付け親となるのだが、そうならないところが、あんスパの面白い点である。


当初、あんかけスパゲティは、「オリジナルミートソース」と呼ばれていたのだ。


あんかけスパゲティは、「ミートソーススパゲティを、名古屋人の口に合うように」との思いから産み出された代物なので、「オリジナルミートソース」と呼ばれていたのであろう。


では、【あんかけスパゲティ】と言う名称を考え出したのは、誰なのか？


ここで、「第三の男」ならぬ「第三の店」が登場してくる。


それは、『からめ亭』という名のあんスパの専門店だ！！


1979年、名古屋の千種区本山で産声を上げた『からめ亭』。


ここの店主が、テレビ番組の取材において、それまで「オリジナルミートソース」と呼ばれていたモノに、初めて【あんかけスパゲティ】という名を与えたのである！


つまり、あんスパの命名者は、『からめ亭』のおやっさんという事になるのだ。


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ナニ～っ？「あんかけスパゲティ」？

ほーう、どえりゃあ～ええ名前だなも！

ほしたら、コレからはよう、「あんかけスパゲティ」と呼ぶまい！！

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……と、あんスパ考案者の山岡さんが言ったかどうかは定かでないが……。


今では、「オリジナルミートソース」と言う呼称はスッカリ廃れてしまい、「あんかけスパゲティ」と言う名前が定着してしまったのだ。


以上が、3分で分かるあんかけスパゲティの歴史である！


この世の中にもし、「あんかけスパゲティ検定」なるものが存在していたら、今まで述べてきた事柄は、必ず試験に出るので、よく覚えておくように！！


あれっ！？何の話だっけ？そうそう、ステーキ丼のことを書かなければ……。


恥ずかしながら、生まれてこの方私は、あんスパの超有名店「ヨコイ」のあんかけスパゲティを食べたことがなかった。


最近、地元の豊橋に、「ヨコイ」の支店が出来たので、早速、あんスパを食べに出掛けたのであるが……つまり、その……浮気をしてしまったのである！


もちろん、あんかけスパゲティを食べるつもりで、「ヨコイ」に入ったのだが……。


いやが上にも食欲をそそる、【特上ロースステーキ丼】というその妙なる響きに抗いきれず、とうとう私は、ステーキ丼の軍門に下ってしまったのだ！


あんスパちゃん、ゴメン！浮気者の私を許しておくれ……。


さて、そうこうする内に私の席へ、すり鉢のように底の深い、洒落乙なライスボウルが運ばれてきた。


まず、上からライスボウルを窺ってみると、五切れのステーキが丼の半分を占有している。


残りの半分を占めているのが、油で炒めて塩・胡椒で味付けされた、玉ねぎ・赤色と黄色のパプリカ・ピーマンだ。


肉と野菜に覆われて、地下に潜む白米には、醤油ベースの甘辛いタレがかかっている。


ステーキ肉は、リブロースに近い部位のキューブロールを使用。


肉の焼き加減はレアで、ガーリックソースで仕上げている。


さすが【特上ロース】と言う名に偽りはなく、柔らかく旨みのある肉だ！


僅か数分で平らげてしまったが、少々ボリュームの点で難があるような気がする。


女性ならば、充分満足のゆく量かもしれないが、食べ盛りのオッサンにはちょっと物足りないかなあ……まあ、自分はフードファイターではないので、コレでよしとしよう！


あっ！次は、あんかけスパゲティを食べなくっちゃイケないね……汗