ローストビーフ丼 大盛
前回の日記『JDおさんぽ』の続編である。
大須観音駅から巨大まねき猫のオブジェまでは、人で賑わう土日・祝日であっても、15分弱で歩ける距離だ。
コスプレイヤーたちは、大須観音へ向けて行進し、私とJDはレイヤーたちとは反対の方角に進んでゆく。
人々の流れの真逆を行くとなると、歩くという単純な行為でさえ、容易ではなくなる。
さて、ようやく大須観音通を抜け出た私たちは、大きな交差点を渡って、引き続き商店街のメインストリートである【万松寺通】を行く。
この通りの途中にある【新天地通】という小路へ入ると、万松寺(ばんしょうじ)というお寺があるのだ。
歴史に詳しい方なら、ご存知の方もおられようが……織田信長の父信秀の葬儀が営まれた際、信長が父の位牌に向かって抹香を投げつけた、というエピソードがある。
そのエピソードの舞台となったのが、ここ大須にある万松寺だ。
とまあ、そんな事はどうでもいい!
【新天地通】を右方向に見つつ通り過ぎると、間もなく【万松寺通】は尽きる。
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さて、困った。『Red Rock』のある正確な場所が分からない。
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お店の名前が【レッドロック】だけに、こんな事を口にしたら、JDにヘッドロックをかけられてしまうかも…(汗)
立ち止まってキョロキョロする私にJDがこう助言をする。
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携帯で調べた方が良くない?
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う~んっ!お前さん、頓知がきくねえ!
これから、キミのことを【トンチJD】と呼ぼう!
とある洋服屋の店先で、携帯をいじっていると、そのお店のお姉ちゃんが、私に声をかけてくれた。
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『どこかお探しですか?』
『はい!レッドロックってお店を探しているんですけど』
『じゃあ、ソコですよ』
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綺麗なネイルアートを施した、そのしなやかな指がさし示す方向を見ると、目の前の小路に、目指す『レッドロック』があった。
普通ならば、15分もかからずに到着できる場所へ、小一時間も要したのである。
だが、ここに来て、また一つ問題が発生するのだ。
とうに13時を回っていたのだが、『レッドロック』の前は、入店待ちのお客でイッパイであった!
行列の最後尾に付いた私は、店外でお客の整理をするスタッフに、「入店するのにどれぐらい掛かりますか」と聞いてみる。
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そうですねえ……45分ぐらい掛かると思います。
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レイヤーの行列に難儀しつつ、一時間掛けて、ようやくたどり着いたかと思えば、この炎天下で更に45分も待つとは……。
ホントにもう、ダチョウ倶楽部の上島竜兵のように『殺す気かっ!!』と言いたくなるような心境だ。
すると、【トンチJD】がまたもや、頓才を発揮する。
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ねえねえ、この近くにお目当ての氷屋さんあるみたいだから、かき氷買って、食べながら順番待とうかあ?
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おっしゃる通りでございます。そうしましょう!
いやはや、こうなると、どちらが桃太郎で、どちらが家来だか分からなくなる。
ちょいちょい主従関係が入れ替わるのだ!
話が長くなるので、グッと途中を端折って、入店したところから……。
券売機で、食券を二枚買う。私は、ローストビーフ丼の大盛、JDはローストビーフ丼の並盛。
席についたら、待つ間もなく、丼が二つ運ばれてきた。
いや、レッドロック(赤い岩)とはよく言ったものだ!
赤みがかったローストビーフが、何枚も何枚も折り重なって、山をなしている様は、まさに【赤い岩】と呼ぶに相応しい。
ローストビーフの量が多すぎて、なかなか【銀シャリ】という名の鉱脈にたどり着けぬ。
まるで、出るはずもない、徳川の埋蔵金を発掘しているような気持ちになる。
薄くスライスされたローストビーフを、一枚一枚バカ正直に食べていったら、ご飯を拝むのに、かなりの時間が掛かるであろう。
私は、ローストビーフをごっそりと、丼の縁に寄せて、ご飯に取り掛かった。
ローストビーフにかかっているヨーグルトソースは問題ないのだが、このご飯にかかっている、豆板醤ベースのタレがどうもイマイチである。
人によって好みがあるので、豆板醤ベースのタレを旨いと思う方も、当然いるだろう。
個人的には、醤油ベースの甘辛いタレの方が、ご飯には合うような気がした。
次回は、ここのステーキ丼に挑戦したい……混んでいなければね。