ルドルフとイッパイアッテナ
黒い仔猫【ルドルフ】が主人公の、日本製3DCGアニメ『ルドルフとイッパイアッテナ』を観てきた。
猫好きの私には、もってこいの映画だ。
この映画は、斉藤洋の同名児童文学作品をアニメ化したもので、1991年にNHK教育テレビ『母と子のテレビ絵本』でもアニメ化されている。
ルドルフを主人公にしたシリーズは、本作を入れて四つある。
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『ルドルフともだちひとりだち』
『ルドルフといくねこくるねこ』
『ルドルフとスノーホワイト』
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『ルドルフとイッパイアッテナ』は、ルドルフシリーズの第一作目だ。
では、なるべくネタバレしないように気を付けて、この映画のあらすじを簡単に書きたいと思う。
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大好きな飼い主のリエちゃんと幸せに暮らす、黒い仔猫のルドルフ。
ある日、母親からお遣いを頼まれて出掛けてゆくリエちゃん。
ルドルフは、リエちゃんのあとを追うべく、こっそりと表へ駆け出していく。
屋外へ出たことのない飼い猫のルドルフにとって外は、危険に満ち溢れた場所であった。
轟音を立てながら走り去る自動車。
二つの大きな車輪を回転させながらスイスイと進む自転車。
ただ往来を行き交うだけの人々でさえも、小さいルドルフの目から見れば、まるで巨人たちの行進のようだ。
いつしか、リエちゃんを見失ったルドルフは、ひょんな事から長距離トラックの荷台に紛れ込んでしまう。
一晩揺られて、着いた所は、東京都江戸川区の北小岩。
トラックの荷台から飛び下りたルドルフは、とある町内で睨みをきかす野良猫の【イッパイアッテナ】と出会う。
大柄のイッパイアッテナは、威風堂々たる容貌の持ち主で、貫禄十二分な雄のトラ猫だ。
お互いに名前を聞き合い、名乗り合うのだが、何故かルドルフは、この大きなトラ猫の名前を『イッパイアッテナ』と勘違いして、信じ込んでしまう。
道路へ突然飛び出しては車に轢かれそうになるルドルフ。
飼い猫として育ってきたルドルフは、餌ですら自分で確保する知恵がない。
見るに見かねたイッパイアッテナは、しょう事無しにルドルフの面倒をみることになる。
イッパイアッテナは、ルドルフを引き連れて、自分の縄張りにしている町内を練り歩き、野良猫として行きてゆく術を教え込む。
ルドルフは、イッパイアッテナに付いて町内を回るうちに、ある間違いに気付く。
行く先々で、イッパイアッテナの呼び名が、コロコロと変わるのだ。
仲間内の猫たちからは【ステトラ】、警察官からは【ドロ】、学校の先生からは【ボス】、魚屋の大将からは【デカ】、近所のオバサンからは【トラ】と……。
親であり、先生であり、兄貴であり、良き友達である、この大きなトラ猫は、【イッパイアッテナ】と言う名前ではなく、呼び名が一杯あったのだ!
ある時、ルドルフは、イッパイアッテナの秘密を知ることになる。
イッパイアッテナは、生まれついての野良猫ではなく元は飼い猫で、アメリカへ旅立つ飼い主から、野良になっても生きてゆけるようにと、ある特別な能力を授かっていたのだ。
それは、「人間の使用する文字を読み書き出来る」、という特殊な能力であった。
ルドルフは、自分が一体何処からやって来たのかが分からない。
分かるのは、「三丁目からやって来た」ということのみで、その三丁目が、 何県の何市の何町かも分からない始末。
これでは、大好きなご主人様と再び会うことが出来ない。
ルドルフは、イッパイアッテナに懇願して、文字の読み書きを教えてもらう。
自分の生まれ育った町を探し当てるために。
そうするうちに、偶然ルドルフは、自分の住んでいた所が、岐阜であることを知る。
だが東京から岐阜までは、何百キロも離れており、猫にしてみれば、歩いて帰るには絶望的な距離であった。
しかし、天はルドルフを見放さなかった。
秋の紅葉シーズンに、北小岩から岐阜まで行くバスが、町内から出発することを知り、イッパイアッテナと袂を分かつことになるのだが…………。
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さて、ここからまた、一波乱も二波乱もあるのだが、ネタバレは御法度なので、この辺りで止めておく。
ルドルフの声は井上真央、イッパイアッテナの声は鈴木亮平が、それぞれ担当している。
鈴木亮平は、イッパイアッテナのキャラにドンピシャだし、井上真央の猫の甘え声も秀逸である!
子供向けのアニメと侮るなかれ、猫好きなら、きっと泣くと思う……たぶん。
私は、泣いてしまったので(汗)