二階書院のお薄
南山寿荘が特別公開されたこの日、二階の書院では呈茶のサービスがあったので、お薄(抹茶)をいただくことにしました。
9畳の主室に敷かれた赤い毛氈の上に座り、お菓子とお薄が来るのを待ちます。
初めに、お菓子が運ばれてきました。
扇型の器に乗った本日のお菓子は、「長寿園」の『黒琥珀(くろこはく)』という、黒糖を使用した寒天菓子。
「外はカリッと、中はしっとり」とした面白い食感で、黒糖の素朴な甘みがあとを引く干菓子でした。
お菓子を食べ終えた頃、口造りから胴にかけて緑釉の垂れた、洗柿(あらいがき)のような色目の茶碗が、膝前に置かれる。
お給仕の方に伺ったところ、この茶碗は、美濃の女性陶芸家で、おんとし72歳の皇游和子(こうゆう・わこ) さんの手になる赤織部(あかおりべ)の茶碗とのこと。
お薄を頂戴して、茶碗をひっくり返してみると、高台裏(こうだいうら)には、和子(わこ)さんの作品であることを示す、カタカナの【ワ】の一文字が刻まれていました。
この茶碗の正面には、何やらシイタケの裏側のような絵が描かれています。
これも気になったので、お給仕の方に聞いてみました。
すると、これは『片輪車(かたわぐるま)』という文様だそうです。
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片輪車とは……
時代はさかのぼって、これは平安の御世のお話。
その当時の牛車の車輪は、木でできていました。
夏には木が乾燥するため、ひび割れなどが生じます。
こうなると、移動中に色々と不都合が出てきます。
そこで、使用しない時には車輪を外して川に入れ、水に浸しておく習慣があったそうで。
川に浸って半分しか見えない車輪と、川の水の流れを共に表現したのが、この片輪車の文様なんですよ!
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ウ~ン、一つ勉強になりました。
「コレって、シイタケですか?」と聞かなくてよかったなあ……汗
さて、一間の床の間に目を移すと、そこには、掛け物と茶花が飾られています。
掛け物は、江戸時代後期の文人画家、山本梅逸(やまもと・ばいいつ)作の『秋草花鳥図』。
伊賀鯰口花生(いが なまずぐち はないけ)に生けられている茶花は、椿のつぼみと榛(はしばみ)の枝葉。
茶花は、お茶席に季節感を運んでくれる重要なアイテムです。
茶の湯の世界では、椿とハシバミの組み合わせは、とても有名だそうです。
お茶席から外を眺めると、庭の紅葉がウッスラと紅く色づき始めていました。
モミジの葉が深紅に染まるには、もう少々時を待たねばなりませんねえ……。
コメント
2016/11/12 7:39
2. >>1 さもはんさん
コメントありがとうございます!やっぱり、シイタケの裏側に見えましたか?改めて、知らない事って多いんだなあ……と思った一日でした(^^;)))
返コメ
2016/11/12 2:48
1. 確かに椎茸の裏側に見えますね。
ひとつ勉強させて頂きました(´ー`)
返コメ