オムハヤシ
昼食を兼ねて、遅めに摂る朝食のことを、「ブレックファースト」と「ランチ」の混成語で、【ブランチ】と言う。
では、昼食と夕食を兼ねて摂る、早めの晩御飯のことを、何と言うのだろうか?
「ランチ」と「ディナー」の混成語で、【ランディー】なんて言うのかな?
こんな愚にもつかない事を考えている私は、まだ『BON CAFE(ボン カフェ)』にいる。
「天使のスポンジ」というスイーツを食べ終えた後、昼食を摂っていないことに、ふと気付く。
時刻を見ると16時半だから、夕飯を食べるには、ちと早い。
「甘いモノは別腹」などと言うが、その別腹はすでに満たされている。
しかし、昼めしを食べていないので、しきりと腹の虫がただをこねて、私を困らせるのだ!
京ことばに、【虫養い】というのがある。一時的に空腹をしのぐために、何かしら軽く食べることを意味する。
私の腹の虫は、かなりタチの悪い虫だ!
虫養い程度のモノを与えたとて、とてものことに承服などはしない!
まるで、『セサミストリート』に出てくるクッキーモンスターのように、食べることに関しては貪欲だ!!
もう少し、街中をブラブラしたあとに夕食を、と考えていたのだが……。
まず、鳴いてむずがる腹の虫を、大人しくさせるのが先決だ!
再び、メニュー表を手に取り、めぼしい品をあれこれと探してみる。
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ウ~ン、パスタが旨そうだなあ……。
でも今は、パスタって気分ではないし……どうせ、食べるんだったら、ご飯モノだよなあ、やっぱり……。
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メニュー表の中を、あちこちと彷徨う私の視線を、ピタリと止めたメニューがあった!
『オムハヤシ』、コレだ!!
このメニュー表に載る『オムハヤシ』のビジュアルは、文句のつけようがない!
マヨネーズの愛好家を【マヨラー】なんて言うが、オムライスの愛好家は【オムラー】とでも言うのであろうか?
もしそうなら、私も歴とした、オムラーの一人である!
こんなにイケてるオムライスを、食べずに、ここを立ち去ることなど出来ない!
食事とデザートの順序が逆にはなるが、さっそくこの「オムハヤシ」を注文することにした。
片手にスプーンを握りしめて待つこと10数分、あのハヤシ特有のほのかに香る甘い匂いを周囲に放ちつつ、お待ちかねのオムハヤシが、私のテーブルへとやって来た!
白いご飯を、ふわとろの半熟玉子が覆い、そのとろふわの半熟玉子を包み隠すかのように、ワインレッドのハヤシソースがなみなみと注がれている!
牛バラ肉がゴロゴロと入っているハヤシソースは、トマトの程よい酸味と玉ねぎの甘みが相俟って、クセになるほどのウマさだ!
ふわとろの半熟玉子と、この極上のソースが絡むと、更にウマさが増してくる。
こうなるともう、スプーンの動きが止まらない。
あっという間に、オムハヤシの乗ったお皿が、舐めたようにキレイになる!
少し欲を言えば、ご飯は白米ではなしに、バターライスの方が良かったのでは?
なんて思ったが、そんな小賢しい私の考えなど、軽く吹き飛んでしまうくらい、このオムハヤシは絶品であった!
スイーツも良し食事も良し、まさにボン・カフェ恐るべしである!
次回オジャマする時は、「天使のスポンジ」以外のスイーツとパスタでも食べてみるか……。