残念めし
40代後半  愛知県
2017/05/16 18:42
残念めし
グルメ日記である以上、自分が「ウマい!」と感じた食べ物のことだけを書きたい。


しかしながら、外食をした際、しばしばハズレくじを引くことがある!


外食時に、「食べてみてガッカリした」という経験は、私だけに限らず皆様にもあるはず。


悪い意味で、我々の期待を裏切ってくれる料理のことを、私は『残念めし』と呼びたい!


私は、この『残念めし』を以下のように定義する。


1、他者からの異論が出ないほどマズいもの。


2、「マズい」とまでは言えないが、それほど旨くはないもの。


3、ビジュアル的には申し分は無いものの、実食してみたらさして旨くはなかったもの(見かけ倒しの料理)。


4、質あるいは量のどちらかが、その値段に見合うだけの価値がない料理(コスパの低い料理)。


以上四つの項目のうち、どれか一つでも該当すれば、『残念めし』となる!


『残念めし』は、日記の題材にはならないので、【没ネタ】とされて今まで日の目を見なかった。


問答無用で没とされ、日陰の身に甘んじてきた『残念めし』を、安らかに成仏させてやる義務が、私にはあると思う。


よって、不本意ながら今回は、『残念めし』について書くことにした。


なお、味覚には個人差があるので、その点を踏まえた上で、以下の文章を読んで頂きたい!


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●『住よし』の「すき焼き風きしめん」


『住よし』は、JR名古屋駅の各在来線のホーム及び新幹線の上り下りのホームにある、立ち食いスタイルのきしめん屋だ。


かつて、アメトークでも「美味しいきしめん屋」として、紹介されたことがある。


確かに、それなりに旨い!殊に、だし汁がウマいのだ!


だから、ネギと花かつおだけが乗った、【素うどん】ならぬ【素きしめん】であっても、その真価はうかがえるはず!


券売機を見ていくと、350円の「きしめん」から始まって、400円台と500円台の商品が続く。


400円台のきしめんたちは、『住よし』の主力商品である!


この400円台のメニューたちを、社会人に例えるなら、安月給で酷使される20代の若手社員、と言ったところであろうか。


一番高い商品は、870円の「名古屋コーチンきしめん」である。


「どれにしようか?」と、券売機の前で迷っている私の目が、一枚のポスターを捉えた!


それは、美味しそうなきしめんの上に、すき焼きの具がたくさん盛られているポスターであった!


『すき焼き風きしめん(620円 )』


よし!これに決定だ!!


購入した券をカウンターへ置くと、さっそく調理が始まる。


サッと湯通しをして、しっかりと湯切りをしたきしめんを丼へと移し、住よし自慢のだし汁を、なみなみと注ぐ。


この間に温めておいた、すき焼きのレトルトパックを湯の中から取り出して封を切り、だし汁に浸かったきしめんの上へドボドボと投入する。


「お待ちどうさま!」の声と共に、私の目の前へ「すき焼き風きしめん」が置かれた。


まるで丼の中から、金色(こんじき)の光を放っているかのように見える。


私の隣で、350円のきしめんを黙々と啜る男が哀れに思えてきた。


優越感に浸る私は、誇らしげな表情をしつつ、丼の縁に唇をつけ、きしめんの汁をひとくち啜る!


「うっ!?」、思わず驚きの声が漏れた。


「住よし」のだし汁は、かつお節とムロ節でとった無化調のツユである!


すき焼きの甘辛いタレが勝ち過ぎて、住よしご自慢のだし汁に、壊滅的な打撃を与えているのだ!


すき焼きの甘辛ダレに侵食された、きしめんのだし汁は、青息吐息虫の息である!


まるで、赤潮に汚染された海のようだ!


まあ、牛すきとか豚すきの後にうどんを入れた「うどんすき」、いやいや「きしめんすき」だと思えば、決してマズくはないのだが……。


それにしても、あの美味しいだし汁が、ここまで台無しになるとは、残念で仕方がない!


こんな事になるなら、隣の男のように、350円のきしめんにしておけば良かった。


『住よし』の名誉のために一言申し添えておくが……この【すき焼き風きしめん】は、なかなか人気のあるメニューらしい。




※味覚には、個人差があります。

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